日本書紀:神代・上

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【世界の始まり】

 昔々、まだ世界の形がなく、すべてが霧のようにぼんやりしていた時代がありました。それは、朝が来る前のほんのり明るくなる時間のように、静かで不思議な世界でした。そこには何も決まったものはなく、ただただ漂うだけの空間。でも、その中には、何か新しいものが生まれようとしている気配がありました。

【最初の神の誕生】

 やがて、その混沌とした世界から、一つの大きな力が生まれました。それは、まだ名前もない光のような存在で、この後に続く神々の始まりとなるものでした。最初に現れたのは、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)。彼は何も語らず、ただそこに存在し、静かに世界の中心にいました。その姿は、暗い夜空に最初の星が輝くようなものだったのです。

【世界の秩序を作る神々】

 次に生まれたのは、高御産巣日神(たかみむすびのかみ)と神産巣日神(かみむすびのかみ)でした。この二柱の神々は、世界にルールや秩序を作るために生まれました。もし天之御中主神がこの世界の始まりだったとしたら、高御産巣日神と神産巣日神は、その世界を形づくり、時間が流れるようにする役目を持っていました。

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【最初の神々の役目の終わり】

 この三柱の神々は、目に見える体を持たず、ただ意志だけがそこにある存在でした。そして、静かに役目を果たし、次の時代へと移っていきました。彼らは姿を消したわけではなく、その意志は次に生まれる神々へと受け継がれていきます。

【世界の形ができ始める】

 こうして世界は少しずつ形を持ち始めました。霧が晴れ、大地のようなものが感じられるようになりました。そして、新たに五柱の神々が生まれました。その中には、宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)と天之常立神(あめのとこたちのかみ)がいました。彼らは、これから続く壮大な神々の物語を支える、しっかりとした基礎となる神々でした。

【大地と天の神】

 宇摩志阿斯訶備比古遅神は、大地に生命をもたらす力を持つ神でした。まるで、土から草や木が芽生え、水が流れるように、静かに世界を見守っていました。一方、天之常立神は、空を支える神でした。彼は風のように見えない存在でしたが、世界をしっかりと安定させる、大きな力を持っていました。

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【新しい時代の訪れ】

 この世界はまだ静かで、優しい光に包まれていました。しかし、神々が次々に生まれるにつれ、その光はどんどんはっきりしていきました。そして、天と地がはっきり分かれる時が訪れようとしていました。こうして、新しい時代が始まり、さらに多くの神々が生まれ、世界が広がっていったのです。神々の物語は、ここから本格的に動き始めるのでした。

【あとがき】

日本書紀を現代小説風にしてみました。
お楽しみいただけたら幸いです。
※画像はイメージです。